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2022.07.30

[レポート] フューチャーコンパス第33回講演会 (2022/6/21)

住友商事(株)QXプロジェクト テクノロジーディレクターであり東北大学大学院情報科学研究科特任准教授(客員)の寺部 雅能 氏を講師に迎え、「量子コンピュータが変える未来 ~地中から宇宙まで量子技術で社会を変革する挑戦~」と題して講演をいただいた。

【講演要旨】
1.量子コンピュータの現在地
量子コンピュータは、2000年代までは研究領域の一分野であり、社会実装はずっと遠い未来の話だと考えられていた。2011年に一般販売が開始されると、現在ではクラウド経由で誰でも利用可能なサービスとして提供されるようになり、既に商用利用の入り口にある。現時点で量子コンピュータの活用が圧倒的に有利な実用的事例は、まだ見出されていないものの、普段の生活から宇宙まで、あらゆる分野において、ゲームチェンジャーになることが大きく期待される技術である。今後数年のうちに投資が一気に加速し、2040年以降には90兆円の市場になるとの見通しもある。

2.社会課題解決への期待
量子コンピュータの実用化に大きな期待が集まる背景には、これまでにない形で社会課題を解決できる可能性を持つ点があげられる。
例えば、モビリティ分野で参入が相次いでいる、コネクティッド・サービス※をとおして、収集されたデータをリアルタイムで活用するには膨大な情報処理が必要とされる。従来の情報活用では、各車両がそれぞれ渋滞情報を確認して迂回路を選択することで、結果として迂回路が混雑してしまうという問題があった。未来の社会では、それぞれの車が自分の目的(例:最時短ルート)を達成すると同時に、社会全体としても価値を最大化する(例:地域全体で渋滞発生抑制)ルート選択ができるような、全体最適化の実現が可能になる。
量子コンピュータは、この事例のように、膨大な組み合わせから最適な答えを求める問題の処理に適しており、食糧分布やエネルギー需給など、分配の偏りを最適化することで社会課題を解決することが期待される。
※コネクティッド・サービス:乗り物がネットワークでつながり、得られた情報を利活用するサービス

3.ワクワクを現実に
量子コンピュータだからこそ実現できる未来を想像すると、その可能性の大きさにワクワクする気持ちが高まる。「こんな世界にしたい」と未来を描き、実現方法を検討する中で、イノベーションの創出につながるコミュニケーションが生まれ、具体化につながっている。イノベーションが非連続な形で世界を何度も変え、未来が予測できないからこそワクワクする感覚を大切にし、量子コンピュータが活躍する未来をつくっていきたい。

 

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