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2023.02.04

[レポート] 大人の学びなおし第4クール 第5回講義 (2023/1/10)

大人の学びなおし第4クールの第5回講義は、名古屋大学大学院多元数理科学研究科 藤江 双葉准教授を講師に迎え、「グラフ理論~点々を繋いで見えること~」(領域:数学)をテーマとして講演いただいた。

◇講演要旨

グラフというとy=axなど、学校で習った直線や曲線のグラフを思い浮かべるだろう。
グラフ理論でいうグラフというのは、V(頂点集合(有限集合))とE(辺集合)でできている(G=(V,E)と表す)、「点と、点と点を結ぶ辺」でできた図形のことをいう。
グラフ理論は歴史の浅い領域であり、始まりは1736年のEuler(オイラー)によるKönigsberg(ケーニスベルグ)の橋の問題と論文から始まった。

身近なグラフといえば、駅の路線図や化学の構造式などがある。例えば、電車の路線図では、駅と駅の「つながり方」が主に重要な情報で、実際の駅間の距離や配置などは基本的に無視して描かれることがほとんどである。構造式も、実際に原子間の線がその配置であるわけではない。このように「つながり方」に着目して抽象化された「点と、点と点を結ぶ辺」でできた図形について考えるのがグラフ理論である。

グラフ理論では、グラフのどことどこが繋がっているかor繋がっていないかのみに着目し、その形は意識しない。すると、形が異なっていても繋がっている点と点の関係が同じであれば“同じ”グラフとみなすことができる。
また、グラフ理論の大きなサブカテゴリとして、グラフの辺や頂点に色を塗ることがある。〇×ゲームや△阻止ゲームもグラフ理論の1つである。あらゆる地図が4色で塗り切れるという地図の4色問題もグラフ理論によって証明されている。
他にも、グラフ理論の応用として、必ず同じ場所に戻れるようにするグラフと法則でできた図形が新たに2007年に証明されたり、見やすい地図を作るといったことに活かされているほか、ネットワークの多重化などもグラフ理論の応用の代表例と言える。最近では新型コロナウイルスの感染拡大のためのロックダウン措置や戦闘における攻守戦略なども点と辺の関係から導きだせる例として存在している。

一見数学らしくないようで数学らしい、点と辺の関係を抽象化して構造的に捉える、普段無意識に身の回りにあるグラフ理論について学び、その活用について考えた。

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