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2023.12.06
[レポート] 大人の学びなおし第5クール 第2回講義(2023/11/28)
大人の学びなおし第5クールの第2回講義は、中京大学国際学部言語文化学科より亀田 真澄 先生を講師に迎え、「メディア表象とアファーマティヴ・アクション(積極的差別是正)-なぜスプラッシュ・マウンテンはNGで、人魚姫は黒人になるのか?-」(領域:メディア)をテーマとして講演いただいた。
◇講演要旨
先日、大学の入学者選抜で人種を考慮する「アファーマティブ・アクション」を巡る訴訟で、米連邦最高裁が、人種を考慮することは、「法の下の平等」を定めた憲法修正14条に違反すると判断した。最高裁は1978年の判決で容認してから、実に45年ぶりに判断を覆したことになる。
ディズニーパークのアトラクション「スプラッシュ・マウンテン」は、2020年5月に世界的な広まりを見せたブラック・ライヴズ・マター運動を受けて、アメリカ国内では閉鎖されることとなった。
これは、「スプラッシュ・マウンテン」が題材とする映画「南部の唄」(1946年)における黒人表象が問題視されてきたことを受けた措置だ。
一方で、ディズニー作品「リトル・マーメイド」(2023年)は、アフリカ系アメリカ人ハリー・ベイリーを人魚姫アリエル役に抜擢したことから反発が相次ぎ、ハッシュタグ「#NotMyAriel」がトレンドになるなど、一種のスキャンダルを巻き起こした。この反発に対しては、ベイリー本人が「私が子どもの頃に黒人のアリエルを見ていたら、私の人生は違っていたはず」と語るなど、人形姫を黒人にすることが、アフリカ系アメリカ人の自己肯定感を高め、エンパワメントに貢献すると強調されてきた。
しかし、なぜ主人公役に黒人がキャスティングされれば、黒人の自己肯定感が高まるのだろうか?それは差別のない社会の創出に貢献することになるのだろうか?さらに、登場人物と演者の違和感、役者や声優の途中変更があった時など、最初の違和感はそのうち慣れるか、慣れない?その違いは何か?
そもそも、白人と有色人種の人種差別、映画というメディアを通した黒人のステレオタイピングの表象はどのようなものであったか。
今回の講義では、「南部の唄」と「リトル・マーメイド」という二つのディズニー作品を例に挙げながら、人種問題がメディア表象においてどういったことが問題になっているのか。また、それが本当に問題なのか。アファーマティヴ・アクション(積極的差別是正)をめぐる問題点、背景やどう捉えるべきかについて考えた。
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