NEWS

2022.07.05

[レポート] 第21回アカデミックナイト (2022/6/23)

名城大学の目黒淳一氏、名古屋大学の赤井直紀氏を講師に迎え、「自動運転への道-自己位置推定技術の最新事情-」をテーマとして講演をいただいた。

◇講演要旨
講演1 「GPS/GNSSを中心とした位置推定技術と自動運転での活用に関する課題」
名城大学 理工学部 メカトロニクス工学科 准教授 目黒淳一 氏

自動運転には高精度かつ高品質な位置姿勢が必要となり、様々な手法で位置姿勢を推定する手法が提案されている。その中でGNSSは絶対位置を推定可能なセンサであるため、自動運転でも活用されている。しかし、GNSSには建物の影響による衛星信号の遮蔽を始めとしたさまざまな問題がある。そのため、従来販売されているGNSS受信機を、自動運転にそのまま適用することは安全性の観点から困難である。さらに、高品質な位置推定装置は非常に高価である問題もある。そこで本研究では、低コストなIMU(Inertial Measurement Unit)との統合方法の工夫により、自動運転に適用可能な位置姿勢をGNSSを活用して実現することを目指している。開発した技術(Eagleye)は、都市部を中心に評価を行っており、自動運転で実際に利用されている高コストなセンサと同等レベルの位置姿勢が可能となりつつあることを確認している。また、Eagleyeはオープンソースソフトウェア(https://github.com/MapIV/eagleye)として公開しており、広く活用可能としている。

講演2「LiDARを用いた高度自己位置推定システムと自己位置推定技術応用のための取組」
名古屋大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻 助教 赤井直紀 氏

自己位置推定とは、事前に構築された地図上で対象とする移動体の位置を特定する技術であり、現在の自動走行システムの根幹となっている技術である。しかしながら、自己位置推定も完璧ではなく、位置の認識に失敗する可能性もある。そしてこの失敗は、自律移動の失敗に直結し、事故を引き起こす要因にもなる。これに対し当研究では、①自己位置推定に失敗しない様に頑健性を向上、②自己位置推定に失敗したことをロボット自身が認識、③推定失敗した場合は即座の復帰を、同時に実現するシステムを開発した。このシステムは、従来の自己位置推定技術では実現できないことを実現するものであり、高度自己位置推定システム(Advanced Localization System: ALS)と呼んでいる。ALSを用いることで、自律移動の安全性保証も可能になると考えられる。また、自動走行以外にも、自己位置推定技術を活用することを目指して、持つだけで自己位置推定ができるデバイスを開発しており、技術の応用についても取り組んでいる。

◇次回のご案内

日時:2022年7月14日(木)18:00~21:00
講演:事故ゼロ社会の実現-次世代の運転支援技術-
講師:名古屋大学 未来社会創造機構 田中 貴紘 氏、名城大学 理工学部 交通システム工学科 山崎 彬人 氏

詳細はこちら

 

この記事をシェア