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2022.12.12
[レポート] 大人の学びなおし第4クール 第3回講義 (2022/12/6)
大人の学びなおし第4クールの第3回講義は、中京大学国際学部言語文化学科講師 亀田 真澄 先生を講師に迎え、「共感」はいかにつくられてきたか?(領域:メディア)をテーマとして講演いただいた。
◇講演要旨
「共感」ということばは、今や、このことばがなかった時代を想像するのが難しいくらいに、私たちの生活に浸透しきっている。2022年2月に勃発したロシア・ウクライナ戦争では、ウクライナ人への同情と共感が、異例と言えるほどのスピードと強さで集められたことによって、侵攻開始から二ヶ月の間に九億ドルにのぼる寄附金が集められたほか、難民は特別に優遇されて受け入れられた。第3次世界大戦に繋がりかねない緊急事態を乗り切るため、共感が道徳的な役割を果たすという認識が急速に広まった事態だったと言える。
「想像してみましょう」と言うとき、例えば強制収容所には地獄しかなく、たとえ当事者でも「幸せがあった」と言うと当事者でない人からも「そんなはずはない」と批判される。そこには一般的に受け入れられる想像と受け入れられない想像があると考えられる。
紛争地域や世界中の貧しい人々、宗教迫害の犠牲者、十分な医療を受けられない人々など、共感すべきと考えられる環境にある人々より恵まれた環境にある人々に、同情や共感が多く集まることがある。
1930年代に、互いに知り合いではない2人、フランスの歴史家とドイツの哲学者がどちらも<感情は社会的に構築される>という考えを提起した。1930年代と言えば、ナチス=ドイツが人々を感情面で魅了し恍惚とさせることで勢力を拡大した時期てあり、感情学はこれに直面したことで発達した分野と言える。
現代社会の特徴的感情ともいえる「共感Empathy」ということばは、実は20世紀に生まれ、1960年代以降に一般化した、比較的新しい概念である。1920年代、集合的に共感させることで商品宣伝を行う手法が生まれたのち、それが国家宣伝にも利用されることで、「共感」が作られるようになっていった。この文化史を通して、メディアと共感の関係、マス・エンパシー(集合的な共感)と個人の「本当の感情」との関係について考えた。
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