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2024.01.29

[レポート] 「ニュータイプの時代」大人の学びなおし×FUTURE COMPASS 特別回(2024/1/12)

過去の遺物になりつつある「当たり前」の価値観をアップデートし、幅広い視野でこれからのスタンダードを理解し、新たな時代を構想するイノベーティブな思考力を身に着けることを目的としたリベラル・アーツ講座「大人の学びなおし」と、各界のプロフェッショナルによる講演から現在世界で起きていることや新しい時代の可能性を受け止め、イノベーションにつながる発想を呼び起こすことを目的としたプログラム「FUTURE COMPASS」を継続的に実施しています。今回は、2つのプログラムの要素を併せ持った合同特別回として山口 周 氏を講師に迎えました。

【講師】株式会社ライプニッツ 代表取締役 山口 周 氏
プロフィール/1970年東京都生まれ。独立研究者、著作家、パブリックスピーカー。
電通、BCGなどで戦略策定、文化政策、組織開発等に従事。著書に『ビジネスの未来』『ニュータイプの時代』『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』『武器になる哲学』など。
慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修士課程修了。
株式会社中川政七商店社外取締役、株式会社モバイルファクトリー社外取締役。

【講演要旨】
 パンデミックや技術発展、経済発展によって、社会の環境が大きく変わり、「人々が身銭を切って解決したいと思える『問題』」がほとんど無くなりつつある中、かつて大きな成果を生み出した「正解を出す」「論理的に考える」「綿密に計画する」「専門家に頼る」といった「昭和型の優秀人材=オールドタイプ」の価値が急速に毀損している。
 講演では、リベラル・アーツとは何で、なぜ必要なのか、「問題」とはどう生じるのか、また、これまで忌避されていた「問題を提案する」「直感で動く」「行き当たりばったり」「シロウトを生かす」といった思考・行動様式を持つニュータイプの組織マネジメントについてお話しいただいた。

 リベラル・アーツとは、芸術・文化・科学といった人間の叡智についての知識を持っていること、顧客の知る世界の外側にある素晴らしいものを知っていることだという。これを知らないからこそ、今、世界中に大きな価値を提供している海外の有名企業にある、誰に頼まれたものでもない自分たちが描く「ありたい姿」が日本人には無く、統計データと過去の経験のみに頼り、焦点のずれた顧客志向マーケティングを行って来た結果、産業消滅に至っているという。
 私たちは、地位、年齢、性別、経歴といった格差、固定観念等のノイズを払い、パラダイムシフトの起点に辿り着き、引き揚げる必要がある。
 講演後の質疑応答では、どのように受け入れられる「逸脱者」になるか、どのように意味のある多様性を作るか、どのように逃げ切り系責任者の阻害を避けるか、どのように自身の少数派アジェンダを拾う神に持って行くか、多様性の許容とリーダーシップのバランスについてなど、活発に発言が交わされた。

 昭和が終わり、平成も過ぎて令和の今、確実にもう昭和の戦い方は通用していない。このまま後進国となる道を進むか否か。ニュータイプの時代は、すでに来ている。

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