REPORT
2025.12.12
【レポート】リベラルアーツナイト第7クール第4回 死生学(2025/12/3)
■リベラルアーツナイト概要
“知に出会い、アップデートする夜”
時代の課題の真因を探索し、問いを立てる能力が求められる中、リベラルアーツの重要性が認識されています。10名の講師がリレー形式で現代社会を読み解き本音で語ります。
■第4回:死生学
本講座では、上智大学大学院教授・佐藤啓介氏にご登壇いただき、デジタル時代の死生学についてご講演いただきました。
昨今のデジタル社会においてAI故人が投げかけるのは、「死の概念という大きな変容ではなく、死者に対する私たちの向き合い方の変容である」ということを趣旨に、生成AIにより死者との関係性がどう変わりうるのか、を各自が考えるべき問いであることが提示されました。
生前の動画や音声をもとに、故人らしい表情や声で台本を読み上げるサービスや、遠隔で墓参りができる「メタバース墓」構想、AIによる対話型サービスの可能性も実際の動画も交えて紹介されました。
こうした技術は、悲しみを癒す効果に期待の声がある一方、現時点ではAI故人がユーザーにどのような心理的影響をもたらすのか不明ではあり、依存などのリスクが考えられるという声もあると指摘されています。法的には死者の権利が空白で、肖像や声の利用に明確な規制がない現状も課題です。「生前同意」や「遺族の削除権」など、倫理設計の必要性・方向性にも触れられ、あくまでも写真やビデオなどと同じ1つのツールという認識に変化していくであろう可能性も示唆されました。
AIの進展は、人の感情や倫理とどのように整合性をとっていくべきか。技術の進化がもたらす希望と不安を学び、死とテクノロジーの未来を考える貴重な機会となりました。
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