REPORT
2026.03.23
【レポート】AIとイノベーションの未来 パネルディスカッション(2026/3/10)
-イベント概要-
生成AIは急速に進化し、AIエージェントが自律的に働く時代が目前に迫っています。産業が集積する中部圏では、技術革新のスピードと“マインドセットのギャップ”が、未来の競争力を左右する重要な要素となっています。
AIがもたらすディスラプションの本質とは何か。AIと共に働き、創る未来で、人間の役割はどう変わるのか——。本イベントでは、各界のトップランナーが“After AIをいかに生きるか”をテーマに、産業・組織・個人のあり方について多角的な議論を展開しました。
【基調講演】株式会社デンソー 成迫剛志氏
生成AIの現在地とフィジカルAI
〜汎用技術がもたらす変革と、ロボティクスによるリアル世界への「召喚」〜
本講演では「生成AIの現在地とフィジカルAI」をテーマに、汎用技術(GPT:General Purpose Technology)としての生成AIが社会にもたらす変革と、現実世界への応用可能性が示されました。生成AIは、人間の能力を補完・拡張し、創作・開発をはじめとする多様な領域で飛躍的な生産性向上を実現し得る技術であり、農耕やインターネットに並ぶ社会構造を変える潜在力を持つと語られました。
一方で、日本企業が過去の新技術を「コスト削減」に偏って活用してきた点を踏まえ、今後は“価値創出”への発想転換が不可欠であることも指摘されました。生成AI活用において、米国企業が顧客価値の最大化を軸に投資を進めるのに対し、日本企業は効率化志向が強く、このままでは競争力低下につながる懸念が強まっていると示されました。
また、生成AIは言語・画像・音楽・プログラミングなど幅広い領域で高度化が進み、ローカル環境での活用も拡大しているとのことです。今後は、AIが現実世界で動作する「フィジカルAI」が重要領域となり、ロボットとの連携によって新たな価値を創出するフェーズへ移行していくと語られました。すでに多様なロボットを統合的に制御し、人間やロボット同士が柔軟に協働する実証が進んでおり、日本のものづくりの強みを生かせる大きな飛躍の機会になるとの展望が示されました。
【パネルディスカッション】
テーマ:After AIをいかに生きるか
「After AIをいかに生きるか」をテーマとしたパネルディスカッションでは、各社が取り組む先進事例と、これから直面する課題が共有されました。製造業の技術継承、インフラ点検、デザイン支援といった領域では、AIによる効率化と新たな価値創出の可能性が広がっており、その具体像が示されました。
一方で、AIと人間の適切な役割分担をどう設計するかが重要な論点として取り上げられました。AIは思考の補助や暗黙知の形式知化を担う「パートナー」であり、より高い価値を引き出すためには、人間側が「問いを立てる力」を身につける必要があると語られました。
また、AI時代における人間の価値は、意思や感情、価値判断といった本質的な領域にこそ残るという見解が示されました。ビジネスの方向性も、個人の内発的な動機や創造性を出発点とする形へシフトしていく可能性が指摘されました。
最終的な意思決定は人間が担うべきであり、AIを“より良い価値創出のためのツール”としてどう活用するかが、これからの社会に求められる姿勢であると強調されました。
聴講者からは、「AIの可能性やAIが前提の世界について考えられた」「様々な業界の方々の視点の考えがうかがえて良かった」「AIに対する情報収集や、識者のAIへの考え方、関わり方が知れた」など、中部圏のマインドセットを促進する場となりました。
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