REPORT

【レポート】リベラルアーツナイト第7クール第10回 AI・哲学(2026/3/18)

2026.04.06

【レポート】リベラルアーツナイト第7クール第10回 AI・哲学(2026/3/18)

■リベラルアーツナイト概要
“知に出会い、アップデートする夜”
時代の課題の真因を探索し、問いを立てる能力が求められる中、リベラルアーツの重要性が認識されています。10名の講師がリレー形式で現代社会を読み解き本音で語ります。

 

■第10回 AI・哲学

リベラルアーツとしてのギリシア哲学

  ~AIが拓く、新しい原典との向き合い方~

本講座では、名古屋大学 デジタル人文社会学研究推進センターの岩田直也准教授をお迎えし、「古典文献研究へのAI応用」と「AI時代における人間の知と判断」という、きわめて現代的かつ本質的なお話を伺えました。

前半では、岩田氏が開発に携わる古典テキストAIプラットフォーム「Humanitext」を用いたデモンストレーションを通じて、AIが古代ギリシャ・ラテン語文献をどのように読み、検索し、根拠付きで回答を生成するのかが紹介されました。RAG(検索拡張生成)や独自の文脈処理手法により、「どこにそう書かれているのか」が明示される点は、研究のみならず教育や実務への応用可能性を強く感じさせるものでした。

一方、講演の軸となったのは技術そのものではありません。ソクラテス、プラトン、アリストテレスといった古代哲学者の議論を手がかりに、「AIは正しい答えと理由を示せるが、それを引き受けて判断する」ためには、「自分にしかできないこと」「どう生きるか」を思考することがより重要である。AIの出力がいかに精緻であっても、最終的にそれを自分の判断として選び、行動し、責任を負うのは人間です。知識とは単なる情報や論理ではなく、価値観や行為と結びついた“生き方”の問題である。この哲学的視点は、AIを日常的に使う私たちに強い示唆を与えてくれました。

本講座は、単なる知識習得にとどまらず、AIとどう向き合い、どう使いこなし、どこに人間の価値を見出すのか。テクノロジーと人文知を往復しながら問い直す良い学びの機会となりました。

この記事をシェア