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2020.06.16

[レポート] フューチャーコンパス第14回講演会 (2020/04/03)

名古屋工業大学大学院 ・教授の伊藤 孝行氏を講師に迎え、「AI技術で拓く未来社会」と題して講演をいただいた。

【講演要旨】
1. AI技術の進化
従前は、将棋や囲碁で人間のプロ棋士に勝利するようなAI(人工知能)でも、人間が盤面の良し悪しを一つひとつ教え込むことで強くなっていた。しかし、現在のAIは、深層学習技術により人間が話す言語の認識も進み、ルールを教えなくても自動的に学習するだけでなく、AI同士が協力して目的を達成する「チームプレイ」能力までも自動的に習得できる。また、ポーカーのような、相手の手札がわからないゲームでも人間に勝てるようになった。今やAIは、不確実な相手情報と自分の志向を参照しながら意思決定するような、より実世界の交渉に近い状況にも対応可能となってきている。

2. AIが導く合意形成
我々は、これらの技術を利用して、集団としての人間の知性を向上させようと取り組んでいる。群(組織)として人々が互いに協力することは、人間が高度な社会を形成できた要因の一つであり、それをAI技術の応用で効率化し、発展させられる可能性がある。例えば、AIによる意思決定支援である。今のところ、SNSなどを通じてインターネット上の多人数の意見に対して意見表明ができるようになったが、それらを整理集約し、自然に合意形成するまでには至っていない。

3. AI技術の未来
研究では、AIが人間の議論に自然な形で加わることが可能となってきている。これを応用し、AIが司会やファシリテーターを務めることで、より多くの人が議論に参加しながらも、効率よく意思決定できる日は近いかもしれない。AIの未来は自分たちがつくっていくものである。現在の技術をさらに発展させ、未来に向けたビジョンを現実のものとしていきたい。

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