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2020.11.13

[レポート] 大人の学びなおし第2クール 第1回/文学 (2020/11/04)

大人の学びなおし第2クールの第1回講義は、名古屋大学大学院 人文学研究科 塩村教授を講師に迎え、「尾張藩奥医師の日記を読む ―うらやましい人生の送り方―」(領域:文学)をテーマとして講演いただいた。

◇講演要旨
大田常庵(1810~1889)は幕末明治を生きた尾張藩の奥医師です。彼は、詳しい日記3冊を残してくれました。この数年来、御子孫の依頼で解読と翻刻に取り組み、最近漸く全部を読み終えました。
常庵は、仕事に励み、家族や知人を大切にし、食い道楽で、茶や骨董を愛する趣味人で、信仰心の篤い人でした。要するに波乱の少ない、平穏で幸福な人生なのですが、そんな人の日記が意外に面白く、感銘を受けたことが多々ありました。
「神社へのお参りの帰りの夜にきれいな三日月が見え、その後三男の病気が快復したことから三日月が見えるたびに家族で拝んでいたこと」「おカネと人間関係を大切にし、もののやり取りを細かく日記に記していること」「食事の内容も細かく記録し、そこから読み取れる名古屋の高いレベルの食文化」など、古き良き名古屋城下町の生活をうらやましく振り返りつつ、「人はなぜ日記を残すのか?自分の記録のため?後世に生きた痕跡を残すため?」、大きな問いを投げかけながら、「古書を通して昔の人とお知り合いになる」、その実践例をご紹介いただきました。

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