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2021.06.08
[レポート] 大人の学びなおし第2クール 第10回/芸術~音楽~ (2021/03/24)
大人の学びなおし第2クールの第10回講義は、愛知県立芸術大学 音楽学部 東谷 護 教授を講師に迎え、「ポピュラー音楽にみるローカル・アイデンティティを考える」(領域:芸術~音楽~)をテーマとして講演いただいた。
◇講演要旨
音楽はその美的価値という「芸術性」を表象する側面とは別に、「商業性」という側面も見逃すことは出来ない。とりわけポピュラー音楽においては、音楽が市場化し「商品」として、生産販売し生計を営むという側面に焦点があてられやすい。それゆえにポピュラー音楽は「プロ」のものという認識が一般に強いように思われる。
プロに求められるのは、卓越した技能であることもあれば、他を圧倒するほどの存在感のこともある。場合によっては、音楽性よりも話題性が優位にたつこともある。いずれにせよ、消費の対象として何かしらの魅力を生み出すことが、ポピュラー音楽に関わる「プロ」には求められている。そのなかでも、ヒット曲なり、スター某なりといった存在は、ポピュラー音楽文化にとって、社会的に広く注目を浴び、ポピュラー音楽の代名詞と成り得る。さらにポピュラー音楽に付与された「商業性」「ヒット(流行)」というイメージが、ポピュラー音楽にみる「プロ主導」と「アマチュア主導」の差異を生じさせると言える。
一方、アマチュア主導とは、プロ主導とは方向性が正反対であり、売ることよりも、自分たちの趣向、そしてそこに媒介されるネットワークを重視する。このネットワークでは対人関係が重視されるため、地域的な要因に左右されることが多い。したがって、地域独自の音楽実践が当該地域に根付く。アマチュア主導にはローカル・アイデンティティ(地元愛)の強いものが見出される可能性が高いと言える。
今回の講義では、「ポピュラー音楽をどのようにとらえるか?」「ポピュラー音楽にみるローカルとは何か?」、ウッドストックフェスティバルや全日本フォークジャンボリー(1969年から1971年にかけて岐阜県中津川市で3回開催された野外フェスティバル)などローカル・アイデンティティ(地元愛)のみられる事例を紹介し、それを追うことで、地域の文化実践とそれらを支える人間の動きの重要性について考えた。
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