<プログラム>

「フェーズフィールド法とデータ科学を活用した次世代材料設計」

  東海国立大学機構 名古屋大学 大学院工学研究科 材料デザイン工学専攻 教授 小山 敏幸 氏

 近年、計算熱力学(CALPHAD法)と計算組織学(フェーズフィールド法)の融合により、材料の内部組織形成の定量的モデル化が 発展しました。同時に組織形態情報から各種の材料特性を算出する手法も、様々な分野において進展しています。 さらに以上の体系に、データ科学における逆問題手法を援用することで、材料開発の効率化を実現する試みが注目されています。 本講演では、当該分野の基礎から応用までを解説し、材料設計の未来像について述べます。

●「MIを材料開発に!コスト削減と開発の加速を支援」

  株式会社 日立ハイテク SCレジリエンス推進本部 マテリアルソリューション部 主任 林 貴之 氏

 これまでの材料開発は、研究者の知識や経験に基づいた勘から実験計画を設計し、実験を行い、特性を評価する方法が主流でした。 しかしこの方法は、実験回数が多くなるためコスト・時間がかかるというデメリットがあります。 Materials Informatics (以下 MI)は過去の実験データから統計的手法を用いて、目標性能を満たすような実験候補を計算できます。 これにより、データをもとに次の一手を打てるようになり、最終的には材料開発の効率化が期待できます。

●「ファインセラミックスのプロセスインフォマティックス~粉体を扱うプロセスや製品の開発時間短縮をめざして」

  国立研究開発法人 産業技術総合研究所 中部センター 無機機能材料研究部門 研究部門長 藤代 芳伸 氏

 電子部品や装置部品など、幅広い分野で使われているセラミックスは、今後、市場が拡大するモビリティ電動化、ポスト5G通信分野、 医療・ヘルスケア分野などで成長が期待できます。一方、形状が異なる粉(原料)を制御して、機能構造を構築するため複数工程の 条件最適化が必要で、材料開発に時間がかかります。それらの開発スピードや人材不足を補う一つの方法として、 データ駆動型のプロセス開発(プロセスインフォマティックスや自動実験開発など)に挑戦する産学連携アライアンス構築が今後重要となります。 現在、産総研で進めているMPI拠点の動きなどを中心にご紹介します。

●「全国25の研究機関の叡智が集結!最先端の計測・分析設備が使えます」

  文部科学省 マテリアルDXプラットフォーム マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)運営機構マネージャー 太田 康仁 氏

 マテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)は、ナノテクノロジープラットフォーム事業(H24~R03)における先端設備の共用プログラムは そのままに、新たにデータ創出プログラムを加え、データ駆動型マテリアル開発のための研究インフラとしてR03年度よりスタートしました。 昨年度、年間利用は3,000件、過去10年間で商品化、アワードにつながった支援は85件です。 500名の技術スタッフと1,100台の設備に加え、大学の先生方の協力も得て皆様の研究開発を支援いたします。