NEWS

2023.04.12

[レポート] 大人の学びなおし第4クール 第10回講義(2023/3/28)

大人の学びなおし第4クールの第10回講義は、名古屋大学大学院情報学研究科 心理学 石井 敬子 教授を講師に迎え、「ものの見方や感じ方の文化差」(領域:社会心理学)をテーマとして講演いただいた。

◇講演要旨

人の情報処理容量には限界があり、同時に入力される知覚情報のすべてを知覚し、処理することは概ね不可能である。そのため、私たちの心は関心があるところに対して選択的に注意を向け、その他を無視してしまうことが往々にしてある。

では、何がその私たちの関心の付け方に影響するのか。日本で暮らしていればやはり、ついついその中で慣れ親しんだ見方を採用してしまうことがある。しかしその見方は、他の文化と比較すると決して当たり前ではなく、文化間で大きな違いが見られる。しかもその違いは、日常あまり意識していないものの見方や感じ方にも表れる。例えばそれは絵の説明一つをとっても変わってくる。

この違いは、例えば子供なら親と一緒に見るか否か、また年齢によっても変わってくる。特に7歳ごろは脳の発達が著しい時期と言われ、学校を始め社会とのコミュニケーションにも変化があり、この年齢辺りから文化差が顕著に出ているという実験結果もある。

はたまた、こうした見方の文化差としては、欧米とアジア圏の間で顕著な差が見られるが、これは小麦文化と稲作文化との違いが影響しているという見方もある。
この地域間は、特に個人主義と集団主義という違いが見られ、小麦地域は離婚率が高いといった統計もある。

今回の講義では、さまざまな心理学実験の知見をもとに、私たちの心がいかに社会・文化に依存しているか、地域によって差があるかについてご紹介いただき、グローバル化による文化の急速な変化が私たちの心にどのような影響を与えるのかについて考えた。

 

 

この記事をシェア