NEWS

2021.02.09

[レポート] フューチャーコンパス第20回講演会 (2020/11/24)

法政大学大学院教授の米倉 誠一郎氏を講師に迎え、「デジタルとソーシャルで行こう」と題して講演をいただいた。

【講演要旨】

1.デジタル・パワー
ビッグデータ、IT(AI)、金融の3要素を掌握するデジタル・プラットフォーマーがマーケットを席捲し、この20年間でビジネスのあり方が大きく変化した。プラットフォー
マーの持つデータを使えば、効率的に販売ターゲットにアクセスし、高い成果を上げられる。ユーザー側にとっても、提供されるサービスにより利便性が向上したが、同時に、ビジネスの生み出す負の側面である経済的格差も拡大している。

2.日本の明るい未来への手がかりは、ソーシャル・イノベーション
一見ビジネスとして成立しないように見える、貧困、格差、不平等などの資本主義が内包する矛盾点の解消を、ビジネスで実現しようとする動きが広がっている。ムハマド・ユヌス氏(2006年にノーベル平和賞を受賞)の創設したグラミン銀行がその一例である。米国のスタンフォード大学では、NPOやNGOから持ち込まれる途上国の社会課題などを取り上げ、解決するためのビジネス・デザインを体系的に学ぶプログラムを提供している。世界は大量生産、大量消費、大量廃棄の時代から、どのようにして社会課題を解決するかに主眼を移している。日本は近年の産業構造の変化やデジタル化に出遅れ、経済的な視点での成長鈍化は明白である。しかし、例えば自然エネルギー利用や省エネなど、技術力を生かした課題解決型ビジネスにおいては、世界に対してさらなる貢献ができる可能性がある。

3..難しい時代だからこそ、楽観的に行こう
日本人は戦争や災害を通して危機的状況に対応する強いレジリエンスを証明してきた。日本を「世界に日本があってよかった」と思われるような、グローバルな持続的成長を担う存在にしていきたい。そして、これからのソーシャル・イノベーション実現には、デジタル技術が欠かせないであろう。難しい時代だからこそ、すでに日本が持つ良い側面を最大化し、楽観的なマインドを忘れずに世界へ飛び出し、チャレンジしてほしい。

この記事をシェア