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2021.02.16

[レポート] 大人の学びなおし第2クール 第7回/デジタル時代の哲学 (2021/02/09)

大人の学びなおし第2クールの第7回講義は、名古屋大学 大学院情報学研究科 久木田 水生准教授を講師に迎え、「移動と人間」(領域:デジタル時代の哲学)をテーマとして講演いただいた。

 

◇講演要旨
直立二足歩行の始まりは、600万年ほど前のサヘラントロプス・チャデンシスと考えられる。人間の祖先は、直立二足歩行を始めたことで移動能力を向上させ、森林から出て道具を作りサバンナで獣の肉を食べるようになる。さらに人類は歩行・走行の能力を向上させ、優れた狩猟者としてサバンナに君臨する。そして、アフリカから移動し、雪山に暮らしたり、島々へと移住したりする人々が現れた。これには、未知の世界を想像し、そこに移動して生活するための準備をし、集団を組織し、そしてリスクを冒して計画を実行する能力が必要である。

人類の黎明から現在に至るまで、移動は常に人間にとって重要な意味を持っている。
異なる文明間での知識、アイデアや産物の交換が文明のさらなる発展のカギであり、ジャレド・ダイアモンドは、ユーラシア大陸で最も早く高度な科学技術や統治体制が発達したのは、多くの文明が活発に交流を行ない、技術や知識を交換し合っていたからだ、と論じる。しかし、コミュニケーションが盛んな環境は感染症が広がりやすい環境でもあり、ユーラシア大陸は、頻繁に破滅的な感染症の流行に襲われていた。
アフリカから世界中に拡散した人類は、離れた社会の間で交流を行い、移動のためのテクノロジーを発展させ、より流動性の高い社会を作り、そして現在では宇宙への旅や移住までも視野に入れている。
移動の様態、規模、目的、意義は多岐にわたっており、時代によっても変化する。今回の講義では、移動というものが人間にとってどのような価値をもち、それが将来においてどのように変わっていくのか?そこにはどのような問題があるのか?を多角的な視点から考えた。

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