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2021.12.07

[レポート] フューチャーコンパス第29回講演会 (2021/11/08)

志本株式会社代表取締役の三浦亜美氏を講師に迎え、「事業家の志に寄り添い、匠の技を未来へ継承する新しいPE投資のかたち」と題して講演をいただいた。

【講演要旨】
1.「志」のある経営こそがVUCAを生き抜く
日本は、創業100年、200年の企業数ランキングで世界1位になるなど長寿企業が多い。これは、社会の課題を私事(わたくしごと)と捉え、周囲の事業者も仲間として支えあう習慣が昔から根付いているためではないだろうか。
私は株主至上主義にならず、和を大切にする「心」や「志」のある経営こそが、不確実性が高い今の世界で未来を切り拓く、持続可能な仕組みだと考えている。長くレガシーを築いてきた、志ある企業には、ユニークなノウハウや腕の良い職人など、世界にアピールできる匠の技が残るケースも多い。

2.PE投資を通じた事業承継支援
これまで長く活躍してきたレガシー産業が、抱えている共通課題の一つが事業承継である。私はこれらの企業がもつ匠の技や伝統文化を守り育てたいと考え、経営者が納得できる形で事業を引き継ぐ後継者の役割を担える主体として、投資会社を創業した。
志本(株)では、一般的なPE(プライベートエクイティ)投資のスコープから外れてしまうような、利益規模の小さい企業も投資対象とし、2/3以上の議決権を取得して、経営権を一時的に預かる。
投資価値の最大化や短期的な経済リターンのみをものさしとせず、企業価値の向上、社会的価値の最大化、地域経済への貢献度などを重視した独自の基準で投資先を選定している。資金面に限らず、経営への幅広い伴走支援を通じて、経済合理性だけでは測る事の出来ない匠の技の支援を目指している。

3.日本らしい新たな金融の仕組みをつくりたい
日本では、古来より株主利益の追求だけではなく、近江商人の「三方よし」のような、社会全体の利益を考える支え合いの精神や、「頼母子講」のような共済の仕組みがあった。日本的な商習慣の良い点を積極的に取り入れながら、志をもって世界変革に取り組む経営者を応援する、ユニークな経済モデルを提案して世界に発信していくとともに、匠の技を未来へ継承していきたい。

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