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2022.02.08

[レポート] 大人の学びなおし第3クール 第6回講義 (2022/01/26)

大人の学びなおし第3クールの第6回講義は、愛知県立大学 日本文化学部 歴史文化学科 丸山 裕美子 教授を講師に迎え、「日本古代のマイナンバー制度~戸籍と計帳~」(領域:歴史‐古代史‐)をテーマとして講演いただいた。

◇講演要旨

奈良・東大寺の境内にある正倉院は、今から約1300年前の奈良時代に建てられた倉庫である。そこには、東大寺の大仏に献納された聖武天皇遺愛の品々を始めとする華麗な宝物とともに、古代の文書=「正倉院文書」が残されており、偶然に残った1万点を超える文書の中には、戸籍や計帳と呼ばれる古代の住民基本台帳が含まれている。1300年前の戸籍資料が偶然にも残ったことは奇跡的なことであり、そのおかげで、律令制国家と呼ばれる国家の具体的な有り様を、私たちは知ることができているのである。

古代の戸籍は、日本国内のすべての人を登録し、国家に把握された。個人が特定できるように、計帳には黒子の位置や身体的特徴も記されていた。そして、その情報に基づいて、税が課せられ、社会福祉や公的扶助が行われていた。古代の戸籍・計帳のシステムは、現在のマイナンバー制度にあたるものといえるだろう。

今回の講義では、古代の戸籍・計帳のシステムについて解説し、正倉院文書として残った大宝2年(702)の御野(みの)国戸籍(今の岐阜県の戸籍)や計帳などを紹介。当時の国家は、どのように人々を把握し、どのように税金を徴収したのか?また、税金の徴収のみならず、高齢者福祉や障害者福祉も行われていた当時の制度を、文書に記された内容をもとに紹介した。合わせて、8世紀に流行した疫病に対して、この籍帳システムを利用して、国家がとった対応策についても解説した。

 

 

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