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2023.12.05

[レポート] 大人の学びなおし第5クール 第1回講義(2023/11/14)

大人の学びなおし第5クールの第1回講義は、豊田工業大学より江口 建 教授を講師に迎え、「哲学対話型ファシリテーションによる「哲学的な組織」の作り方」(領域:哲学・教育)をテーマとして講演いただいた。

◇講演要旨

近年、「ファシリテーション」という言葉を日本でもよく耳にするようになったが、恐らく我々が子どもの頃には聞き慣れなかった用語である。最近では、企業や学校でも、会議や授業の進行にファシリテーション的な仕組みを導入し始めている組織が増えている。
対話的組織でありたい、世代間の軋轢などを改善したいと望む一方、多くの企業人から、ファシリテーションが難しいという声をよく聞く。
また、哲学対話はアメリカの学校現場から始まったものであり、本来は学校の方が親和性のあるものであるはずが、日本ではなかなか学校が変わることは仕組み上も難しく、企業の方が哲学対話の取り入れに積極的であり、進んでいる。

しかし、双方の状況を聞けば、学校も企業も、抱えている問題は同じように見える。先生と生徒が、上司と部下、先輩と後輩という関係性に置き換わっただけであり、組織が動かない、学びが動かない時の共通点は同じであると感じる。

では、なぜファシリテーションに注目が集まっているのか。
それは、「VUCA」の時代において、対話や議論を通じて多様な意見を出し合いながら、合意形成を図るプロセスがますます大切だと考えられるようになってきたからである。
そのときに、意見交換しやすいように場の雰囲気を醸成しながら、目的に応じたふさわしい話し合いを促したり、思考を前に進める手助けをするのが、ファシリテーターである。
すでにアメリカでは、学校の教師は、生徒に「知識」を「授ける」人ではなく、生徒の「思考」を「促す」人であるという認識が広まっている。

そして、組織が動かない、組織の考え方・行動が変わらない場合、様々な議論が概ね浅い所を漂うだけであり、根本的な解決が図られていないことが多い。
ここで、哲学的なファシリテーションでは、「本質的な質問をする」という特徴がある。
これが、見せかけの課題から正しい課題設定に導き、組織・集団に変化をもたらす可能性がある。
問題の本質を見極めるために、本当に考えるべき事柄の根っこにまで遡ること、これを現代では、「問いの深掘り」、「問題の掘り下げ」と呼ぶ。哲学的ファシリテーションの特徴は、「問いの掘り下げ方」にあるとも言える。

今回の講義では、「問いの掘り下げ方」の実例をまじえながら、自分が属する組織を活性化するために、どのようなファシリテーションがふさわしいのか、硬直した組織を動かす「よい質問」とは何なのか、ということを考えた。

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