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2020.12.11

[レポート] 大人の学びなおし第2クール 第3回/芸術-絵画 (2020/12/01)

大人の学びなおし第2クールの第3回講義は、愛知県立芸術大学 美術学部 油画専攻 白河 宗利 准教授を講師に迎え、「絵画のノイズ -作品の魅力につながるその作家らしさとは?-」(領域:芸術-絵画)をテーマとして講演いただいた。

◇講演要旨
14〜15世紀初め、ネーデルランドの一部、フランドル地方の画家、ファン・アイク兄弟がのちに、フランドル技法と称される油彩画技法を完成させた。
一方、我が国で油彩画の開拓者、日本で最初の洋画家と呼ばれる高橋由一が、海外の書物から材料や技法を読み解き、油彩画技法を会得して活躍した時代は江戸末期から明治中頃にかけてである。
このことからすると、日本は西洋絵画技術の視点からは後進国といえるだろう。
しかし、「絵画」というメディアは、自動車のような工業製品ではなく、観る人の視覚に訴えかけ感情を動かす表現メディアであり、言い換えると、絵画とは、「表現としての価値」が問われているのである。
近代から現代にかけての画家たちが、絵画を制作する上で意図的に「マンチャ(汚れ)」的な行為を画面に施し、それらを使って偶然性を生かすことや実際には目に見えない要素を描いて表現する場合が数多くみられる。
これらのことを画面上の「ノイズ(性)」とするならば、「絵画空間に現れるノイズ」とはいったいどのような意味や価値をもつのか?
今回の講座では、古典から現代に至るまで様々な時代の作品を観ながら、「絵画に現れるノイズ」を切り口に、様々な技法を紹介。絵画のノイズというのは、作者の描こうとするイメージとは少し関係のないところに現れてくると考えられるが、そういったノイズこそが「絵画の魅力」となる要素なのではないか?と問題提起した。

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