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2022.04.05

[レポート] 大人の学びなおし第3クール 第10回講義 (2022/03/23)

大人の学びなおし第3クールの第10回講義は、上智大学 大学院実践宗教学研究科 佐藤 啓介 教授を講師に迎え、「現代日本社会における死生観を改めて考える~人口減少社会・無葬社会・無縁社会~」(領域:宗教)をテーマとして講演いただいた。

◇講演要旨

 

日本の総人口は、2012年(1億2808万人)をピークに、それ以降一貫して減少しており、日本社会は「人口減少社会」に突入している。そして、今後も人口が減少し続けることはほぼ確実であり、その一つの影響として「多死」の到来が挙げられる。人口減少社会は、多死社会でもあり、2021年の年間死者数は約145万2000人となっており、これは前年比6万7745人の増加である。また2040年には、年間死者数が166万人になると予想されている。その一方で、アンチエイジング、サイボーグ化技術など、先端的な技術によって死を先延ばしさせる可能性や、ヴァーチャル・リアリティ等による死者のAI化などにより、「生と死の境界のゆらぐ」時代が進むと見込まれる。

現代社会は、葬送の自由化・個人化・多様化が進んでおり、私たちの死の受け止め方が個々人の自由に委ねられた一方で、個々人の死生観が否応なく問われざるをえない場面をもたらしており、今後、その動向はますます強まると予想される。さらには、自身の死・他者の死をめぐり、その死のあり方を個々人の自由な選択と環境によって選べるニーズがますます高まる一方で、周囲の誰からも支えられず自身でそのあり方を選び迎えざるを得ないような人々が増えていくことも予想される。

都市部では、すでに火葬場不足が発生しており、多死に社会が追い付いていない現象がみられる。自発的に選ばれる無葬化や葬儀の簡略化、子供がいない中で高齢者が亡くなる無縁化など、我々の社会は人口減少に直面すると同時に、今まで以上に「個々人の死生観」を真剣に考えざるをえなくなるのではないだろうか?

私たち現代日本社会で、広く共有された死生観(というかその不在)の特徴とはどういったものだろうか?そして、今後いかなる死生観が形成されるか/されるべきか?今回の講義では、自宅での死から病院での死の時代に移行したことによる「死のタブー化」や2009年以降の「終活ブーム」の到来とその内容から「現代日本人の死生観」の傾向を読み解き、現代の葬送や埋葬の多様化の事例から観察される死生観と「現代日本人の死生観」の問題を解説。今後私たちは、「迷惑をかけたくない」という消極的ベクトルと、「自己の生(と死)の自由の実現」という積極的ベクトルとの中間において、どのように死生観は形成されていくのかを考えた。

 

 

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