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2023.10.05

[レポート] 哲学の夕べ#3(2023/9/29)

定例プログラム「大人の学びなおし」から派生したガレージ哲学カフェ「哲学の夕べ」第3回を開催しました。今回も豊田工業大学の江口 建 教授にご多忙の中お付き合いいただき、「哲学対話」の手法について理解を深めるとともに、「学び」と「イノベーション」の関係について対話を深めました。

◇第2回までの(超ざっくり)振り返り

第1回 レポートはこちら (大人数で発散、対話の深堀りはできず^^;)
テーマ:「学びなおし」は何をもたらすか?
学びなおしには2パターンある気がする
①会社や国が経済回復や転職のために推奨する個々のスキルアップ⇒あんま楽しくない
②人生や人間性を豊かにするための教養・趣味⇒楽しいけどすぐ使える感じじゃない
⇒⇒イノベーションに繋がるのはどっち?両方??

第2回 レポートはこちら (少人数グループでイイ感じに対話できた!)
テーマ:イノベーションや経済成長につながる「学び(なおし)」とは?
そもそもイノベーションとは何ぞ?何が必要?
・延長線上+新しい外からの情報が融合⇒革新的なもの
・素地となるこれまでの学び+新たな視野外の学び+実行力
⇒実行力はどう引き出す?
⇒リスクを取ること、危機感を感じるだけの学び・経験が必要(要するに痛い目見ないと?)
⇒⇒何を学ぶべき?人より遥かに知識あるAIの台頭とどうつき合う?
  リスキリングで効率化できる程度のことは多分AIがやっちゃう

◇第3回要旨

<哲学対話としての感想>
今回は13名の参加者+江口先生+スタッフ2名の16名で、2グループに分かれて対話を行い、最後に合体して共有を行いました。一円となって対話できるのは20人程度まで、全員が無理なく発言でき、対話を深めやすいのは10人程度までが良さそうと感じました。

<対話の要旨>
これまでの対話の流れとは別に、テーマとして扱ってみたいと希望のあったテーマを加え、参加者が関心あるテーマを選択して話す形式を取りました。

①グループ「AIと人間とイノベーション+なぜ「イノベーション」が必要と言われているのか」の対話
改めて、イノベーションって何?
イノベーションは
・今までになくワクワクする、エモーショナルなこと
・無から有、0→1ではなく新結合である。1+1=2では改善、α×β=Xとなる革新
・思いついていなかったことを思いつけたこと=予測ではない
・ただの技術革新ではなく、考え方、捉え方、やり方が変わる・変える新たな価値観の提供
・歴史を見ると、イノベーションは環境適応であり生物の本能・本質

また、イノベーションを創ることについては、
・利益を求めると生まれにくい
・爆発的に普及するタイミングがある
・ジレンマがある(主要取引先のニーズに応え続けていたけど、世の中の流れが違っていた)
⇒大企業が特にこれだと感じている?
・良いモノ・コトも広げないと意味が無い

ここで、「イノベーションは新たな価値(観)を広く提供するであり、新たな価値観に気づくには、幅広く多様な視点から世界を見ること、声を聴くことが必要である。」ということが見えてきました。

では、人より遥かに多様な知識にリーチできるAIの方がイノベーションを生めるのか?
・生き残る意思の強い者のみが環境変化に適応し、進化を遂げて生き残る
⇒AIに意思は無いのでは?AIは今あるもの・価値観・知識レベル中で最適な答えを出してくれる
・ヒトの進化はDNAのエラーミスという。イノベーションは多くの失敗から生まれる
⇒AIは失敗しない。100%合理的な判断をしないのが人間。面白いで判断しない
⇒エラーの積み重ねで成功が生まれるのに、AIはエラーを生まないから新しい成功が生まれない
以上から、「新たな価値観は人間の直感・ワクワク・エラーミスから導かれるものであり、AIではできない」という考えに至りました。

そして、大きな問題に辿り着きました。我々の超苦手なエラー≒失敗(?)です。
しかしなんと、組織では比較的「失敗すれば良い」と言われると言います。
なのに、なかなか失敗(?)できない、もしくは、上手に失敗(?)できません。
さて、上手に「失敗(?)(=挑戦?)」し、成功への道を発見するにはどうしたら良いのでしょうか・・・

②グループ「イノベーションにおける「多様性」の役割」の対話
多様性って何?

・多様性とは思考の多様性
・思考は男女国籍関係なく十人十色のはず
・同じ組織でも部署が異なるだけで意見が異なる
・出張に行くと、価値観の違いに気づく。組織によって物事の優先順位が違う

なぜ、多様性が維持されないのか?なぜパターン化されるのか?流されるのか?
・失敗を許容できない風土が多様性を促進しない⇐ここを打ち破るのがもはやイノベーション
・利潤の追求が効率化を促進し、失敗を許さない
・多様性が無く、同質な方が作業が捗ると考えがち
(⇐ロールモデル(お手本)があって、やるべきことがはっきりしているときは、これでよい )
・声の大きい人、影響力のある人に従ってしまう

では、海外ではどうなのか?
・海外でも声の大きい人、影響力のある人はいる
⇒ならば海外では多様性はないのか?
⇒⇒むしろ逆で、海外のほうが多様性があり、イノベーティブな仕事が多い
・海外では、たとえ一人の影響力の大きい人物がいても、他の人が別の意見を表明できる土壌がある
・日本の企業では下の人の意見を面白いと言える人が少ない
・社員が自由にモノを言えない
・失敗してもいいという風土が海外と異なる
・日本では出る杭は打たれる。小さいころから打たれてきた
⇐下が追いつくのを待たせる教育がある(凸凹を平らにして、平均的に底上げする教育)

以上から、「多様性は性別に限った話ではない」「同一・大量の作業を行うには同質な人材が揃っている方が効率が良い」「日本の企業風土が多様性が苦手」ということが見えてきました。

では、多様性は本当に必要なのか?逆に、同一性は悪なのか?
・高度経済成長期は生産効率が重宝されたが、VUCAの時代に変わった
・高度経済成長期が男性主導で来た中で、発想や価値観の転換が重要となり、女性活躍促進が始まった
・しかし女性が多くなると女性が女性に厳しくなって、女性が男性(思考)化するケースも見られる
⇒この原因は何か?
⇒⇒結局、母数が増えれば同一性が高まる
⇒⇒同一化すると、争いや嫉妬が生まれる。最初から違うもの同士であれば、それも生まれない

ここで、「時代が変わり、思考に多様性が必要になった」「ただ女性や外国人などマイノリティを増やせば良いわけではなく、多様性を維持するにはバランスが必要」ということが見えてきました。

では、女性の働き方は本当に男性と同質になるのか?であれば、女性登用は必要か?
・女性で昇進している人はどこかで男性と同じ土俵に乗ったように感じる
⇒女性が男性化することなく、女性のままで「その人らしさ」を発揮できる社会とは?
・日本においては、多くの女性は家事や子育てという別戦場があり、
仕事で失敗しても別の場所で成功や心の癒しがある
一方、男性は仕事で失敗すると他に自己を保つ術が無い(結果が出ないと「給料泥棒」呼ばわり)
⇒戦場が増えれば、挑戦的になれるし、失敗を恐れなくなる?
⇒男性も戦場のパラレル化が必要か⇒⇒男性の失敗をどう許容するか?
⇒戦場のパラレル化は思考の多様化にも繋がる

以上から、「日本の男性が特に失敗できない⇒多様性が生まれない」ということが見えてきました。

ではこれに対し、日本人男性にどう失敗させるのか。
はたまた、日本人男性以外をチームに取り入れ、思考の多様性を創りあげ、どうイノベーションにつなげるのか。
さらには、男性が特に失敗できないというのは本当か?じつは女性のほうが失敗が許されないことのほうが現実には多いのではないか・・・?(仕事でも家事でも育児でも、結局、失敗すると責められる)


さて、グループ①と同じように、「失敗」というワードに辿り着きました。
異なる切り口から入った2チームでしたが、ある程度読み通り、
けれど予想以上に面白く同じ話題に入って来ました( *´艸`)✨

もう少し、「失敗」と「イノベーション」について話を続けます。

・日本は、失敗をあまりに「ダメ」と言いすぎる!
失敗が一つも許されない社会では、イノベーションは生まれない
⇒懐の広さ(失敗を含めた投資を許せるか)
⇒企業が利潤を追求するあまり、効率重視になっている現実を変える必要あり
・どうなったらイノベーションと言えるのか。
100億の利益を上げたらイノベーション?1万円だとイノベーションではない?
⇒しばしば金額の多さがイノベーションの基準になりがち。本来は、そうではないはず。
これまでの価値観をひっくり返すような発想が先にあって、おカネは後からついてくるもの
・失敗と同時に「人と違うこと」を許す風土が大事。同一化するから戦いや競争が始まる
日本では帰属意識が悪い方向に働いている
⇒欧米の場合、「自分は会社に帰属している」という意識は薄い。ジョブ型雇用と賃金
⇒だから転職することに積極的
⇒日本は「愛社精神」を大事にする。「愛国心」や「愛校心」ということを頻繁に口にする。
これがよい方向に働いていればよいが、うまくいかないと、同一化と均一化を生み
失敗や多様性を許容しない組織ができあがる
⇒⇒結果、失敗を恐れて無難なことしかやらず、地道で堅実な利益追求に走る
・これからは、会社が新入を選ぶのではなく、新人が会社を選ぶ時代。
少子化で採用できなくなると、選んでもらえる会社になるためにはどうすべきかを考える必要あり
⇒昔は、人が足りなくなると毎年、頭数を揃えようとして採用していた
これは、ただの「欠員の補充」であって「適材適所」ではない。
⇒⇒これからの時代は、単に欠員を補充するという発想ではなく、「〇〇をやるのに〇〇の人材が
必要だから、〇〇のような人を採用して〇〇の部署に配置しよう」という発想が大事
  ⇒⇒「人を見る目」が大事!

長くなってしまいましたが、今回の対話レポートは以上です。
上手に「失敗(?)(=挑戦?)」できる組織、
一人ひとりの多様な価値を求め・見出し・活かす組織を創っていくには?
この辺りが、次回の問いになりそうです。

次回は12/15(金)18:30~の予定です!
詳細&お申込みは後日ご案内

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